Mazda
マツダ
思い返してみれば、マツダは独自の規範で時代に名を残す意欲的なモデルをいくつも残してきた。いうまでもなくその筆頭は、マツダ・コスモ・スポーツにはじまるロータリイ・エンジンを搭載した一連のスポーツ・モデルだ。ファミリア・ロータタリー・クーペ、RX-3サバンナ、RX-7、RX-8とつづく系譜は、わが国の自動車史においても独自のポジションを保っている。このなかにも、前輪駆動のRX-87ルーチェ・ロータリー・クーペなどという隠れた意欲作も含まれる。
そんなマツダだが、昨今はまったくちがう顔を見せている。マツダ・デミオのヒットはご同慶だし、基本に忠実なスポーツカー、ユーノス/マツダ・ロードスターの存在も忘れられない。
そんなマツダだが、昨今はまったくちがう顔を見せている。マツダ・デミオのヒットはご同慶だし、基本に忠実なスポーツカー、ユーノス/マツダ・ロードスターの存在も忘れられない。
■ マツダ・コスモ・スポーツ/Mazda Cosmo sport
*MAZDA CLASSIC*
わが国産車のなかで、忘れることのできないひとつにマツダ・コスモ・スポーツがある。技術的にだけでなく、いろいろな面で発展途上にあった国産メーカーの意欲が感じ取れるものだ。高いところを目指してつくり出された国産スーパーカーといってもいい。 なにをさておいてもロータリイ・エンジン。ドイツはヴァンケル社のライセンスを利用したとはいえ、実用化したほとんどはマツダの力によるものといっていい。2ローターの高性能エンジンは、新しいものに対するさまざまな風評などをさておいて、新境地をみせるものであった。完成したばかりのコスモ・スポーツを当時の社長自らがステアリングを握って、広島から東京のモーター・ショウ会場に駆けつけたという話は、語り草というものだ。 もちろんエンジンをはじめとするメカニズムの興味が一番なのだが、イノウエはそのスタイリング、内装などにも惹かれる。フェラーリ「スーパーアメリカ」などにヒントを得たのだろうスタイリングは、しかし、「スーパーアメリカ」に較べてもずっとスタイリッシュだ。もちろん、目的がちがうのだが、小さなキャビンからリアにかけてはコスモ・スポーツの個性が光る。内装もチェッカー模様のシートをはじめ、コクピットの雰囲気もゾクゾクさせられる。 エレガントなトヨタ2000GTに対して、ダイナミックなコスモ・スポーツ、といえばわが国を代表する佳き時代の最高峰だ。