Lumborghini
ランボルギーニ
にもかかわらず、ムックをまとめたのはそれだけ興味があったということだ。ちょうどディアブロが登場したときで、早速にイタリア取材に及び、フェラーリ社との対応のちがいに感激したのを憶えている。
「スーパーカーの起源」、ランボルギーニ・ミウラこそ、スーパーカーを確立したモデルと信じて疑わない。並外れてスーパーなクルマ、つまり、初めて本格的なミドシップの超高性能車として1965年のトリノ・ショウにV12気筒DOHCエンジンを横置き搭載した鋼板シャシーを展示、人々の度肝を抜いたところにその原点がある。それは半年後のジュネーヴ・ショウでマルチェロ・ガンディーニによって描かれたダイナミックなボディを以って、ふたたび人々を驚愕に陥れたのだった。
まったく新しいクルマの創造、すなわちスーパーカーの起源というわけである。
まだ数えるほどしかわが国にランボルギーニが存在していなかった時代、幸運にも奇特なオーナーの好意によってミウラSを走らせることができた。ドアの開きかたこそのちのカウンタックのようなアイデンティティはないけれど、ミウラSのボディは、観察すればするほど独創性に溢れていた。エンジンがミドにあるおかげで、キャビンを残してそれぞれ大きく開く前後のフードなど、実によく考えられたレイアウトだと気付かされる。メカニズムの要求をスタイリングに反映してまとめる手腕はガンディーニの真骨頂というもの。そのアイディアを含めて「天才ガンディーニ」と呼ばれる所以だ。リアの壁に付けられたヘッドレスト、ポップアップ式のヘッドランプなども必要要件をうまくこなした一例。一方、それだけでなくヘッドランプ周りの飾りや切れ上がったウィンドウ後方のドアノブを含む飾りなど、意識的に付け加えられた個性もある。そうしてでき上がったミウラSは、並外れたインパクトを与えるのであった。
エンジンをスタートさせた途端から、キャビンのすぐ背後でV12気筒のけたたましくも魅惑のサウンドが轟く。たとえば隣席との会話などできるはずもなく、ただただドライヴァは全神経をミウラに集中させられることになる。まさしく虜である。それは淀みない強烈な加速感に打ちのめされるような走りを味わい、ひと休みすべくクルマを停め、エンジンをストップさせて初めてわれに返る、といったような感覚。あとになって余韻が蘇って、そのスーパーさにつくづく感じ入るといったものであった。
タヌキネコ says:
ミウラ、ミウラ、ミウラ… ため息しか出てこない。