107)ランチア・ストラトスHF

Lancia

ランチア

ランチアという個性的なブランド、その出会いは強烈であった。ほとんど一般路上で出逢うことのないランチアを訪ねて、愛好家のもとを訪ねたのだけれど、それぞれに深くランチアに思い入れていて、クルマ好きを自認しはじめたばかりのイノウエにしても別世界のような気さえしたものだ。なにしろランチア・フルヴィア・クーペにフラヴィア・スポルト、加えてランチア・ストラトスというような個性の塊のようなモデルばかりだったのだから。
 のちに、ランチア・デルタHFインテグラーレ、それもごく初期の「エヴォルツィオーネ」でもなんでもないモデルに乗ったとき、まさに目からウロコであった。グッとランチアが身近かに寄ってきてくれた気にもなった。以後、テーマのステーションワゴンとかテーマ8・32、イプシロンなど個性的で存在感のあるモデルがつづく。その前のランチア・ベータ・クーペ、モンテカルロも記憶に残る。
■ ランチア・フルヴィア・クーペHF/Lancia Fluvia coupe HF
*LANCIA CLASSIC*

  念願だったディーノ246GTを手に入れて間なしの頃、その卓越した走りに夢見心地だった頃である。ランチア・ストラトスHFを取材させてもらう機会があった。写真撮影を終え、「乗ってみてくださいよ。ディーノと較べてどうですか?」と、嬉しいお誘い。
 いや、速いと思っていたディーノよりももうひと回り速くてなにより俊敏。ディーノは大きなフェラーリとちがって体にぴったり「着る」感じで乗れるんだ、といったのはディーノを長く愛用しておられた故保富康午さんだった。それからすると、ストラトスはスポーツ・ウェアに着替えた感じ。とにかく軽さがヒシヒシ感じられ、それに吹け抜群のV6エンジンなのだから、なるほど、プロユースのラリイ・マシーンなのだと実感させられた。

 当時の「グループ4」のホモロゲーション取得のためにつくられたというストラトスHF「ストラダーレ」。「ストラダーレ」はストリート走行用モデルの意で、市販ストラトスを指すのだが、なにはともあれラリイでの戦闘力が重視され、わずか2180mmというショート・ホイールベース。2人分のキャノピイを残して、前後に大きく開くカウルのなかはエンジンやスペア・タイヤで一杯。わずかにリアに小さなラゲッジ・スペースがあっただけ。その分、大きく張り出したドアの内側にヘルメットが収納できるほどの幅のトレイが設けられていた。
 そんなひとつひとつが話題になって、ランチア・ストラトスHFはそのスタイリングともども注目度最高の1台になっている。生産台数も少なく、まさしくクルマ好きの永遠のアイドルのひとつになっている。

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ヒイキのイケン:

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