Honda
ホンダ
ホンダがメーカーとしてとても興味深いものだ、と思ったのはその会社のなりたち、本田宗一郎さんというカリスマの存在だけでなく、「社風」そのものが情熱的であるということを直感していたからだろう。若かりし頃、注目すべきはソニー製品、カメラはオリンパス、クルマだったらホンダが面白い、などといっていたものだが、解る人は解ってもらえよう。ホンダSシリーズ、NやZといった「軽」、そしてシビックという流れは、そのまま自動車を取り巻く環境の変化を思わせる。それにしても、ホンダが大メーカーになるに連れて、クルマ好きのことなど考えてくれなくなった、とホンダ党の友人某は嘆いたものだが、CR-X、ビート、NSXなど時機をみては、かつての片鱗を伺わせる。
■ホンダCR-X/Honda CR-X
*HONDA CLASSIC*
フロントは、たとえばアルピーヌA110のフォグランプのように半分飛び出しさせて、丸いヘッドランプを装着。ボディ・カラーだけは少し好みを入れてレモン・イエロウに下半分はシルヴァの2トーン。うーん、いまだに夢見ているお気に入りがある。そう、ホンダCR-X、ただしくはホンダ・バラードスポーツCR-Xは、コンパクトでスタイリッシュなボディが魅力の小型スポーツ・クーペだ。それにしても、絵に描いたようなけれん味のないスタイリング。イタリアの雰囲気を振りまいて、これでホンダのヒュンヒュン回るエンジンが載っているのだから、お気に入りのペットになるような1台。
じつは、冒頭の「フェイスリフト」をするために1/24のプラモを買い、パテでヘッドランプ部分を埋めたところまでは交錯したのだが……あとはイメージのなかに納めておくがいい、ということなのだろうか。
世界の名車11「HONDA」(保育社)
もう一冊、シビック以降の乗用車中心のホンダをまとめたのだが、いいクルマになったなあ、という感慨以上のインパクトは湧いてこなかった。登場したばかりのレジェンドなど、静粛至極の走り振りは印象的だったが、ホンダがホンダでなくなってしまった感でいっぱいであった。時代は変わったんだなあ、という思い。いまやクルマ好きのホンダではなくて、世界のホンダになってしまったのだった。