76)フェラーリ365GT4 2+2

Ferrari

フェラーリ

クルマ世界のひとつの頂点のブランド。頂点だけにいろいろプラスもマイナスもあるのは当然として、純粋に憧れさせられる存在であるのはまちがいない。われわれが子供の頃にはあまりにも遠い存在で、馴染みもなにもなかったのだが、だんだん広く知られるようになっていまや高価で高性能なクルマの代名詞のようになっている。その過程をつぶさに体験できたのは幸いであった。どこまでも高嶺の花、永遠の憧れであるのはちがいない。逆にいうと、フェラーリのような憧れのクルマがなかったら、貯金する目標を失ってしまうヒトも出てくる、というものだ。
 「フェラーリでありながらフェラーリでないアイロニイ」などと気取ってディーノ246GTを手にして、写真集をつくり、いくつものフェラーリ関連の書物を世に送り出してきたのは、やはり純粋に憧れ、好きである証拠だろう。
■ フェラーリ365GT4 2+2/Ferrari365GT4 2+2
*FERRARI CLASSIC*

 フェラーリは伝統的に1気筒あたりの排気量を以って型式名をつけてきた。だから「365」というのは365×12気筒、つまりは4.4Lエンジン搭載車であることを示す。こんな話は、基本的には12気筒エンジンしかつくってこなかったフェラーリの誇りに満ちたむかし話になってしまったようだ。
 話変わって、ここに1台のフェラーリらしからぬGTがある。フェラーリ365GT4 2+2。スタイリングを見ての通り、のちのちフェラーリ400、412となったことで、ああ、と思ったりするがその祖であり1970年代中盤のちょっと捨て置けない雄大な2+2だ。同じ「365」として大きな人気を得たフェラーリ365GTB/4「デイトナ」から画期的なミドシップ、フェラーリ365GT4BBにチェンジする時代の、「もうひとつのフェラーリ」というものである。フェラーリはフラッグシップ・モデルとは別に高価な4人乗りGTをつくり、その儲けでレース活動をしていた、などといわれた。
 たとえば、「BB」とはフロント・フード上に設けられた銀色のルーヴァなどに共通のモティーフを見出すことができる2+2は、のちのフェラーリ412などと較べるといかにも骨っぽい。DOHCのV12気筒エンジンは、「デイトナ」の280PSより遥かにマイルドな245PSだが、まだ威勢のいい時代のもの。さすがフェラーリの血筋を思わせる。
 とびきりのフェラーリのセカンドカーはこんな2+2だと格好いいのだが、現実はみんな優秀なメルセデスなんだろうな。

ヒイキのイケン:

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