112)ユーノス・ロードスター

Mazda

マツダ

思い返してみれば、マツダは独自の規範で時代に名を残す意欲的なモデルをいくつも残してきた。いうまでもなくその筆頭は、マツダ・コスモ・スポーツにはじまるロータリイ・エンジンを搭載した一連のスポーツ・モデルだ。ファミリア・ロータタリー・クーペ、RX-3サバンナ、RX-7、RX-8とつづく系譜は、わが国の自動車史においても独自のポジションを保っている。このなかにも、前輪駆動のRX-87ルーチェ・ロータリー・クーペなどという隠れた意欲作も含まれる。
 そんなマツダだが、昨今はまったくちがう顔を見せている。マツダ・デミオのヒットはご同慶だし、基本に忠実なスポーツカー、ユーノス/マツダ・ロードスターの存在も忘れられない。
■ ユーノス・ロードスター/Eunos roadster
*MAZDA CLASSIC*

 クルマ好きのアイテムはそれこそライトなものからディープなものまであるけれど、多くのヒトにスポーツカーの楽しみを提供してくれた存在として、ユーノス・ロードスターの名前は忘れることができない。マーケティングとやらが主導権を握り、ありきたりのクルマしか登場しづらくなっていた時代に、クルマを走らせる愉しさを主張して登場したスポーツカーは、それだけで大きなインパクトだった。なにより証拠に、それ以降、ドイツやイタリアでオープン・スポーツが次々に登場してくるのをみるにつけ、ちょっと誇らしい気持ちでロードスターを語れるような気さえするのだ。
 思い返してみれば、初代のロードスターが当時のユーノス店から発売になったのは1989年。その数ヶ月前の5月に米国でヴェイルを脱いだというのも、当時の日本国内のクルマ環境が思い浮かぶではないか。
 マツダ社内のクルマ好きが集まって趣味のようにしてつくった(それを「サンデイ・プロジェクト」などと呼んだりする)モデル。そう訊くと、ロードスターのシンプルで基本に忠実な性格も頷ける。ひとりの個性が際立つような欧州のスポーツカーではなくて、みんなが集まってスポーツカーの魅力を抽出したらこんな形になった。そんなケレン味のなさがロードスターの魅力となって備わっている。
 先ごろデビュウしたばかりのアルファ・ロメオとのシャシー共用第四代目も気になるが、NA系と呼ばれる初代のライト感が素敵だ。

ヒイキのイケン:

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