95)シトロエン「プルリエール

Citroen

シトロエン

フランス車というといまでこそ、プジョーもルノーもシトロエンもしっかり認識されているし、逆にいうとほとんどその3ブランドに集約されてしまっている。そして結構広く浸透しているのだが、ひと昔前までは、フランス車はよほどの好事家のもの、という感があった。それは劣悪なわが国の環境(高温多湿、渋滞の多い道路など)のなかでは、当時のフランス車は住みにくかったし、だからか、なかなかフランス車をきっちり面倒みてくれるところも少なかった。いや、そうした環境にもかかわらず、フランス車は魅力的ではあった。かつてシトロエンCX、CX、DSと3台を経験し、どうしてフランス人はあんなに普段の生活に使いこなしているのだろう、とちょっとばかり嫉妬したイノウエ。もう一度シトロエンDSとの暮らしを、などと思わせるのだから、困ったものである。
■ シトロエン「プルリエール」/Citroen C3 ‘pluriel’
*CITROEN  NEW*

 「プルリエール」とは複数のとか多彩な、というような意味。もともとはシトロエンの小型車、C3をベースに最終的には4座のフルオープンにまでアレインジメントできるようにしたモデル。「プルリエール」のネイミングには、いかにも「これ1台でいろいろ遊べますよ」という主張が込められている。
 キャンヴァス地のルーフ部分が畳み込めるまでは想像できるとして、凄いのはその先だ。畳み込んだルーフ地もろとも、ガラスのリア・ウィンドウ一体がそっくりラゲッジ・スペースに落とし込まれる。ちょうどシトロエン2CVのリアも取り外したような形で、これでも充分開放感が味わえるのだが、さらに左右のルーフレールも外せるのだ。外したルーフには専用のラックまで用意される(まるでメルセデスSLの「パゴダ・ルーフ」のよう)が、残念ながら車内に置き場がなくガレージに置いてくるしかない。
 もうひとつ、「プルリエール」のボディ・カラーも素敵だ。ルーフ・レールをシルヴァにしたボディには、ブルウ・パナマやオレンジ・エーリアルなど、シックにも派手にも楽しめる色を用意。レッドも微妙なニュアンスが解る人には刺激的だ。
 しかし、それにしても楽しみにためにここまで頑張るか。その意気に感じて趣味兼実用にしたくなる。

ヒイキのイケン:

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