Citroen
シトロエン
英国ミニや伊国フィアット500、はたまた独国VWビートルと並んで、フランスを代表する国民車とされるシトロエン2CV。いまになって振り返ってみると、このなかでもひと際「文化」を感じさせるのがシトロエン2CVであった。クルマとして発想されたほかの3台に対して、2CVは「のりもの」というのが発想の原点であったような。
イノウエにとってほとんど初の海外というような昔むかし、ミニを借りてスペインの山道を走った。そんな時、多くのシトロエン2CVと遭遇した。フルゴネットも多かった。スペインでノックダウン生産された2CVは、まだ少なからぬ数が人々の足として使われていたのだ。クイックなステアリング、小さなタイヤを踏ん張って小気味よく走るミニに対して、外側にひっくり返るのではないかというほどロールしながらも、それでも結構なスピードでコーナーを抜けていくシトロエン2CV。また、いくつかの場所で2CVの廃車体に遭遇したりもした。スペインという牧歌的な国、そこで暮らす2CVは似合っていて、クルマというより道具として生活に入り込んでいる感じが素敵だった。
翻って、わが国でも幾度かシトロエン2CVを取材させてもらった。声優の大家、M岡さんに伺った「わが家における一点豪華主義のシンボルとして2CVを買ったんだ」ということば、氏の生活に密着している2CVを拝見して心和んだことを憶えている。
実際に数日間をシトロエン2CVで暮らさせてもらったこともある。決して急がないクルマ生活。2CVの周辺には独自の時間が流れているような気がした。周りのクルマも見え方が変わってくる。
渋いカラーリングのシトロエン2CV、それはグレイ系のチャールストンでもいいなあ、いまだにちょっと一緒に生活してみたくなる1台だ。
タヌキネコ says:
変わることのないベイシック。一度は暮らしてみたい、というのは永遠の夢なんだけど…