BMW
BMW
BMWは独特のシャープな味わいで、今や泣く子も黙ってしまうような一流ブランドになっている。みんながもて囃すものには、どことなく冷めた目を向けてしまうことが多いが、いくつかの熱狂させられるモデルが存在するのは見逃せまい。クルマ好き目線でいうと、かつての「02」シリーズや「CS」など身近かな憧れモデルの時代、それよりも前の最上級のスポーツと小型車の時代など、時代時代によってBMWは別のブランドのような印象を受ける。
1980年代以降、確かな方向性が定まったかのように、技術力とともにめきめきとヴァリエイションを拡大。少しばかり遠くへ行ってしまったような気がしなくもないが、それは「よくできた」完成形に対する無力感みたいなものか。それでもMシリーズなど、正統派スポーツには惹かれるなあ。
1980年代以降、確かな方向性が定まったかのように、技術力とともにめきめきとヴァリエイションを拡大。少しばかり遠くへ行ってしまったような気がしなくもないが、それは「よくできた」完成形に対する無力感みたいなものか。それでもMシリーズなど、正統派スポーツには惹かれるなあ。
■ BMW Z1アルピナ/BMW Z1 Alpina(Alpina roadster)
*BMW CLASSIC*
どれもがシャープな切れ味で、欠点など微塵も見せない完成度を誇るBMW各車。趣味人というのはアマノジャクなもので、優秀なよくでき過ぎたクルマには、今ひとつ食指が動かなかったりする。いや、走らせて、素晴しいなあ、とは思うのだけれど、乗り手がなにも手助けすることがないというのは、どこか一体感に欠けていてその場だけの感動に終わってしまったりするのだ。
さてさて、そんなことを思っていたら1台のクルマが思い起こされてきた。BMW Z1。もう忘れ去られているかもしれない、現代のBMW Z3やZ4につながるBMW Zシリーズの祖である。1987年のフランクフルト・ショウで突如発表されたBMWのオープン2座。すっかり上質なサルーン・メーカーになりきっていたBMW、オープンとなると耐候性などいろいろハンディもある。どう解決するのだろう、嬉しくもあったがちょっとした戸惑いも感じたものだ。
鋼板シャシーにFRP主体のボディ、そのスタイリングも独特だ。近未来のスポーツカーの提案、そんな課題でつくられた意欲的なサンプル。BMW Z1の当時の印象だ。ボタンを押すとドアが下方に下がって、結構な高さの「敷居」の部分に電動で落とし込まれるドアをはじめとして、愉しみは一杯だ。中身はBMW325iのパワートレインそのものだから、走らせての快感が物足りない、というのがBMW Z1の命脈を決めてしまったようだ。
本家のBMWZ1、そのアルピナ仕様のアルピナ・ロードスターを走らせた。アルピナはさすがスポーツカーの切れ味が強調されていてよかったなー。