Audi
アウディ
いまから20年ほど前になるだろうか。ドイツにクルマ好きや専門ショップなどを取材しにいった。その当時の日本市場では、メルセデスとBMWとが人気でしのぎを削って、その少しあとをアウディが追いかけている、というような構図であった。4WDと前輪駆動に特化したブランド、というイメージも強かった。それが、ドイツ本国ではVWは別として、メルセデス・ベンツ、BMWとアウディは人気が完全に拮抗する三つ巴の存在だと訊いて、認識を改めさせられた。クルマ好きが挙ってアウディ、それも「アヴァント」のディーゼル・ターボを個性的にドレスアップして楽しむ、というのが流行のようになっていたのを思い出す。
趣味としてのアウディ、アウディTTやアウディR8という解りやすい憧れモデルをはじめとして、いまを楽しむ進化をつづけるブランドのようだ。
趣味としてのアウディ、アウディTTやアウディR8という解りやすい憧れモデルをはじめとして、いまを楽しむ進化をつづけるブランドのようだ。
■ アウディTTロードスター/Audi TT roadster
*AUDI NEW*
実際の販売台数はさほどでなかったとしても、ブランド内にスポーティ・モデルを持つということは、全体のイメージアップにとって重要なことであるらしい。アウディにTTモデルが加えられたのは1998年のことであった。アウディA3のプラットフォーム・シャシーを用い、2+2のクーペ・ボディに変身させたもので、登場当初こそ高速走行安定性などでちょっとケチがついたけれど、その2年後に追加されたロードスターが潔くて素敵だ。
なにがといってシンプルかつクリーンなスタイリングがいい。それに、アウディ共通の大きな美点だと思うのだが、ときとして実にしっとりと素敵なボディカラーが設定されている。青味の入ったグレイに「野球のグローヴの色」などという遊びココロのある組み合わせは、思わず他にはない個性を感じてニコニコしたりする。
初期のモデルは1.8L+ターボ・チャージャというパワー・ユニット。普通のFWDモデルは180PS(4WDのクワトロには225PS)というものだが、コンパクトなボディのロードスターにとって不足はない。飛び抜けたインパクトこそない代わりに、堅実で気持ちのいい走りを提供してくれる。
初代の8N系は2006年に二代目8J系、さらについ先頃三代目にチェンジされたが、初代ロードスターで趣味を気取るのがいいなあ。