Audi
アウディ
趣味としてのアウディ、アウディTTやアウディR8という解りやすい憧れモデルをはじめとして、いまを楽しむ進化をつづけるブランドのようだ。
「スーパーカー」というとどこか現実味のない、一部のヒトにとっては絵空事のように思われている節がある。そうはいっても、スーパーな性能は有無をいわせず人々を魅了するものであり、またその性能を具現化したようなスタイリングは大きな憧れを抱かせる。生真面目なヒト向けのスーパーカー。アウディR8を眺めながら、そんな印象を持った。
エンジンやシャシーは傘下にあるランボルギーニ・ガヤルドと共用する、といってもブランドはアウディ。のちのモデルには「Sトロニック」と呼ばれる「DCT」も導入され、先進メカニズムで武装した完成形に近いスーパーカーとして、その存在感を大いに高めている。
2650mmのホイールベース、全長も4.4mと決して小さくはないのだが、多くのスーパーカーにありがちな「大きく見せる」ところがなく、むしろコンパクトにさえ感じさせるのは、そのスタイリングのおかげだろうか。機能優先のドイツ車にあって、エンジンの覗けるリアの処理やサイドのアクセントの入れようなど、インパクトの大きさは備えつつもイタリアンとは異なる感覚が独特だ。
■IMPRESSIONS ドイツ流スーパーカー:Audi R8 5.2FSI quattro
アウディR8 5.2FSI quattroを走らせた。8000r.p.m.で525PSを発揮するという、高回転、高出力の直噴(FSI)V10エンジンを搭載したミドシップ。まあ、どこまでもしゅんしゅん回るエンジンは、気がつけば飛んでもない高速へと運んでくれる。アウディお得意の4WDメカニズムを持つスーパーカーは、まったく破綻の気配すら見せない走り振りを提供してくれた。実際にメーターが示している速度の半分、というくらいにしか感じないのは、剛性をはじめとするしっかりとしたメカニズムの充実振りの現われ、というものか。スーパーカーというと、それに相応しいドライヴァの技量を必要としたものだが、このアウディR8は誰にでもスーパーな性能を提供してくれる魔法の絨毯のようだ。
確かな手応えとともに、どこか現実味のない不思議な感覚とともに、少しばかり名残惜しいアウディR8のコクピットをあとにしたのだった。
タヌキネコ says:
ドイツらしい理性的スーパーカー。ランボルギーニを傘下に収めた効能。