1)アバルト

Abarth

アバルト

イタリアの「火の玉ブランド」と名付けたアバルトは、もっとも興奮させられるブランドのひとつといっていい。小さいくせにスタイリッシュ、排気量も小さいくせにカリカリのチューニング。ボディはカロッツェリア・ザガートがアルミで丹念にこしらえ、エンジンは「アバルト・マフラー」でとどめを刺す、なにはともあれ好き者が好き者のためにつくったようなブランドなのだ。とても繊細で「飼い馴らしにくいサソリ」といわれたアバルト、本当にそんなに大変なのか、と実際に飼っていたりもした。その購入、メインテナンス、維持、いろいろ勉強になったなあ。懲りずに、いまも欲しいクルマの最右翼。
■アバルト1000ビアルベーロ /Abarth 1000 bialbero
*ABARTH CLASSIC*

 「ビアルベーロ」とは「ビ・アルベーロ」、つまりは2本のカムシャフトを意味する。いうまでもない、クラシック・アバルトの象徴というべきDOHCエンジンのことだ。クルマは小さい方が走って小気味よい場合が多い。体にフィットし、まるで自分がパワーの塊になったかのような気分で走れたりする。アバルトは最初はフィアット車を少しチューニングして、速い小型スポーツを謳っていたのだが、レースで勝利を収めるべく次第にエスカレート。ついには、750クラスや1000、1300クラスの定勝マシーンにまで昇華する。エンジンも、ブロックこそフィアットだが、ヘッドからほとんどを新調。カリカリのチューニングに仕上げる。
 ボディの方も魅力的なスタイリングのカロッツェリア・ザガート製アルミ・ボディをしつらえる。つまり、エンジンよし、スタイルよし、さらにいうなら数多くのレース勝利を記録したヒストリイもよし、小粒だけれも侮れない「永遠のアイドル」というわけだ。
 その最右翼、アバルト1000ビアルベーロ。所有することは大きな誇りになる。

IMPRESSIONS アバルトに乗る粋:ABARTH 1000 bialbero
 軽量ボディに強力エンジン、旧き佳き時代の速いクルマの正当派というべきものだ。唯一トラディショナルなセオリイに反するといえば、リアのエンジン、リア・ドライヴということか。それにしてもカリカリ・チューンのエンジン。スタートさせた時から腹に応える鼓動が頼もしい。小排気量エンジン故に、甲高いサウンドかと思いきや、低く迫力ある排気音なのが意外だ。
 いくら本格的スポーツといっても、いまから半世紀前のクラシックだ。ギアは4段だし、ブレーキはその性能からすればかなり心許ない。サスペンションも思いのほかソフトで、充分にロールもしてくれる。それでも、アバルトを買ってひと走りすれば、充分に汗をかいてしまうほど。「元気の要るクルマ」と形容したのはウソではない、と実感したのだった。

アバルト1000ビアルベーロ、この時代は982ccで91PSを発揮していた。芸術的なエグゾストがなんとも素敵だ。

協力:カロッツェリア マチオヤジマ
http://www.abarth.co.jp/

One thought on “1)アバルト

  • タヌキネコ says:

    小さくて軽くて、それでパワーフル。それにこのスタイリング、とくればいうことはない。

ヒイキのイケン:

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