70)ランチア・デルタHFインテグラーレ16v

Lancia

ランチア

ランチアという個性的なブランド、その出会いは強烈であった。ほとんど一般路上で出逢うことのないランチアを訪ねて、愛好家のもとを訪ねたのだけれど、それぞれに深くランチアに思い入れていて、クルマ好きを自認しはじめたばかりのイノウエにしても別世界のような気さえしたものだ。なにしろランチア・フルヴィア・クーペにフラヴィア・スポルト、加えてランチア・ストラトスというような個性の塊のようなモデルばかりだったのだから。
 のちに、ランチア・デルタHFインテグラーレ、それもごく初期の「エヴォルツィオーネ」でもなんでもないモデルに乗ったとき、まさに目からウロコであった。グッとランチアが身近かに寄ってきてくれた気にもなった。以後、テーマのステーションワゴンとかテーマ8・32、イプシロンなど個性的で存在感のあるモデルがつづく。その前のランチア・ベータ・クーペ、モンテカルロも記憶に残る。
■ ランチア・デルタHFインテグラーレ16v/Lancia Delta HF Integrare
*LANCIA CLASSIC*

 そもそもランチア・デルタは1979年に発表された小型4ドア・サルーン。それに、ラリイを意識し、「グループA」に参戦できるモデルとしてランチア・デルタHF4WDが加えられたのが1986年。以後、1995年の最終モデルに至るまでの過程は、それこそ進化に進化を繰り返す、これでもかの飽くなき追求の跡を読み取ることができ、まるでクルマ好きがだんだんにチューニング・アップしていく過程のようでもあって実に面白い。なお車名の「HF」はHigh-Fidelity、つまり高再現性、感性に忠実なというような意味。「インテグラーレ」は統合する、一体化するというような、英語でいう「integrate」。「エヴォルツィオーネ」は「evolution」、つまり進化形ということを表している。
 で、1986年のランチア・デルタHF4WDは、1988年にランチア・デルタHFインテグラーレとなり、ブリスター・フェンダ、167PSから185PSにアップした直列4気筒2.0L+ターボ・チャージャのエンジンを持つ。1989年にはエンジンを16ヴァルヴ化 、200PSのランチア・デルタHFインテグラーレ16vに。1992年に「エヴォリューション」に進化。それはドアと一体のブリスター・フェンダに210PSエンジンを持つ。進化は止まらず1993年、「エヴォルツィオーネⅡ」に。燃料噴射がシークエンシャルになり215PS、16インチ・ホイールが特徴。この時代の1994年には「ジアッラ(黄)」の名前通りのイエロウ塗色モデル、「ブルウ・ラゴス」モデルが限定でつくられる。そして、1995年の最終モデルには「コレッツィオーネ」の名前でえんじ色のボディに青と黄のランチア・カラーのストライプ、シリアル番号プレート付モデルが、とくに人気だった日本市場にもたらされている。
 それこそ、初期の前輪駆動のランチア・デルタGTから、各時代のデルタHFインテグラーレを乗ったが、どれもが痛快で、汗をかかせてくれた。「コレッツィオーネ」などまさしくコレクションする価値のある1台といえよう。

ヒイキのイケン:

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

一覧へ戻る