Lancia
ランチア
のちに、ランチア・デルタHFインテグラーレ、それもごく初期の「エヴォルツィオーネ」でもなんでもないモデルに乗ったとき、まさに目からウロコであった。グッとランチアが身近かに寄ってきてくれた気にもなった。以後、テーマのステーションワゴンとかテーマ8・32、イプシロンなど個性的で存在感のあるモデルがつづく。その前のランチア・ベータ・クーペ、モンテカルロも記憶に残る。
そもそもランチア・デルタは1979年に発表された小型4ドア・サルーン。それに、ラリイを意識し、「グループA」に参戦できるモデルとしてランチア・デルタHF4WDが加えられたのが1986年。以後、1995年の最終モデルに至るまでの過程は、それこそ進化に進化を繰り返す、これでもかの飽くなき追求の跡を読み取ることができ、まるでクルマ好きがだんだんにチューニング・アップしていく過程のようでもあって実に面白い。なお車名の「HF」はHigh-Fidelity、つまり高再現性、感性に忠実なというような意味。「インテグラーレ」は統合する、一体化するというような、英語でいう「integrate」。「エヴォルツィオーネ」は「evolution」、つまり進化形ということを表している。
で、1986年のランチア・デルタHF4WDは、1988年にランチア・デルタHFインテグラーレとなり、ブリスター・フェンダ、167PSから185PSにアップした直列4気筒2.0L+ターボ・チャージャのエンジンを持つ。1989年にはエンジンを16ヴァルヴ化 、200PSのランチア・デルタHFインテグラーレ16vに。1992年に「エヴォリューション」に進化。それはドアと一体のブリスター・フェンダに210PSエンジンを持つ。進化は止まらず1993年、「エヴォルツィオーネⅡ」に。燃料噴射がシークエンシャルになり215PS、16インチ・ホイールが特徴。この時代の1994年には「ジアッラ(黄)」の名前通りのイエロウ塗色モデル、「ブルウ・ラゴス」モデルが限定でつくられる。そして、1995年の最終モデルには「コレッツィオーネ」の名前でえんじ色のボディに青と黄のランチア・カラーのストライプ、シリアル番号プレート付モデルが、とくに人気だった日本市場にもたらされている。
それこそ、初期の前輪駆動のランチア・デルタGTから、各時代のデルタHFインテグラーレを乗ったが、どれもが痛快で、汗をかかせてくれた。「コレッツィオーネ」などまさしくコレクションする価値のある1台といえよう。