ヒストリック・スポーツカーの作法

作法

Austin-Healey Sprite

「カニさん」

そのむかし、ようやくクルマを所有できるようになった頃、次のステップとして、普通の実用車ではなくてなんとか「趣味のクルマ」が欲しいと思った。いろいろな雑誌や洋書などを調べて、目標のクルマを決めた。それがなにを隠そう「カニ目」ことオースティン・ヒーリー(その頃はヒーレーと呼んでいた)・スプライトMk-Iであった。選定の理由はたくさんあるが、なにはともあれ「財布の軽い若者のためにスポーツカー」というのが気に入った。身の丈に合った存在でないと、趣味は破綻する。そんなことがぼんやりと頭の中に浮かんでいた。ステップアップするための、まずはクルマ趣味の入口のつもりで手にした「カニ目」はしかし、飽きさせなかった。3台乗り継いで、いまもってわが家のガレージに居つづける。そして、「カニさん」を使って、さまざまな記事を企画した。

■「ラピタ」誌 2005年2月号(小学館)
*Frog-eyes Topics*
 

 ヒストリック・スポーツカーの作法というような記事を頼まれて、恥ずかしながら、「カニ目」をモデルに使って「ヒストリックカーの作法」を紹介した。それにしても、「趣味の極意」という特集、小学館「ラピタ」という月刊誌は実に趣味人御用達の雑誌。「大人の少年誌」という惹句が相応しい素敵な雑誌であった。「趣味の極意」には「スーパーカーのバックの仕方」(別掲)「鉄道模型の作法」など、イノウエ大活躍させてもらった。

 

 で、作法としては、「選ぶときの心得」:いい状態のクルマを選ぶ、それはその個体がいい状態かという意味とそのクルマが歴史的にみていいクルマか、という両面がある。「エンジンをかけるまで」「走り出すまで」:少しばかりの暖気をして。いきなりカッ飛んではいけない、ということなど。「日頃のお手入れ」や「市街地の走行術」はいいとして「周囲の目に対するケア」まで念入りに解説した。

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