114)メルセデス・ベンツ230SL

Mercedes-Benz

メルセデス・ベンツ

保育社から「世界の名車」第16巻を上梓した時、メルセデス・ベンツに対してつけた惹句は「自動車の王道を行く/世界の最高であり/スタンダード ―― メルセデス・ベンツ」。いまもそうだが、泰然自若とした雰囲気とともに、つねに注目を集めるブランドである。
 初めてこの世に「自動車」というものをたらしたブランドは、その後もずっと世界のお手本というようなポジションを守り通している。安全とか「エコ」とか、自動車に課せられてくる大きな命題に対しても、慌てて急ぎ過ぎることなくメルセデスならではの規範で対応する。口で言うのは簡単だが、それを長きにわたってつづけている確かさのようなものが、メルセデス・ベンツの真骨頂というものだろう。
■ メルセデス・ベンツ230SL/Mercedes Benz 230SL
*MERCEDES-BENZ CLASSIC*

 永遠の趣味アイテム、数あるメルセデスのなかで「W113」メルセデスを選んだ。先のメルセデス300SL/190SLにつづく「SL」の第二世代というもので、旧き佳き1960年代のメルセデスだ。中央部が凹んだ「パゴダ・ルーフ」HTと「タテ目」と愛称されるカヴァ付ヘッドランプが魅力のポイント。後者は当時のサルーン・モデルにも共通する。
 1963年に型式W113メルセデス230SLとして発表されたのち、1967年に250SL、1968年に280SLと変化しつつ1971年まで生産がつづいたこのシリーズは、海外の愛好者に「パゴダSLシリーズ」などと呼ばれたりしている。  なにはともあれ明快でクリーンなスタイリング、傑出してはいないけれどよくつくられた不足のないメカニカル・コンポーネンツ、それになによりメルセデスならではのつくりのよさなどが相乗して、いまでも人気は高い。趣味専用のアイテムというのではなく、実用としても使いながら趣味のいいライフスタイルを演出するアイテムとして「W113」系は確かに絶好の存在といえる。それこそオトナの趣味グルマ、厭味のない素敵なメルセデス。悪くないなあ。

ヒイキのイケン:

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