69)マセラティ・クアトロポルテ

Maserati

マセラティ

2014年で「100周年」を祝ったマセラティは、ひと口でいえばイタリアの名門ブランドというに尽きる。なんども経営危機に陥り、シトロエン、デ・トマソ、フィアットなどの傘の下に入りつつも、創始者、マセラティ三兄弟の結付きを表す、ネプチューン神の持つ三叉のモリ「トライデント」エンブレムは、古今のマセラティ車のフロントに輝きつづけている。
 基本的には上級のスポーツカー、サルーン・ブランドだが、歴史的にはレースでの栄光、ときに個性的なスーパーカーなど、マセラティにはつねに羨望のまなざしが向けられていた。1980年代の四角く巨大なマセラティ・クアトロポルテⅢを走らせ、あまりの迫力に感動しつつ、メルセデスではなくてマセラティを選ぶ社長さんに親しみを憶えたりしたものだ。その後も、ガンディーニ・デザインのクアトロポルテ(Ⅳ)では九州まで快適至極のロング・トゥアーをしたり、はたまたマセラティ3200GTでイタリアを走ったり、いつの間にかマセラティにはずいぶんお近づきになっている。
 近年は独自の個性と存在感で生産台数を増しているマセラティ。高性能高級サルーン/GTのイタリア代表として、しばらく君臨しつづけるにちがいない。
■ マセラティ・クアトロポルテ/Maserati Quattroporte
*MASERATI MODERN*

 ピエトロ・フルアがデザインした1963年デビュウの初代クアトロポルテ、クアトロポルテⅢと呼ばれるジウジアーロ・デザインのビッグ・サルーンもいいけれど、1994年からつくられたガンディーニ・デザインの四代目クアトロポルテに、少しばかり思い入れがある。ランチア・ストラトスやランボルギーニ・カウンタックなど並外れたエキゾティックな作品を残す、天才マルチェロ・ガンディーニにしては至極真っ当なサルーン。リアのホイール・アーチ部分にわずかに自己主張を残した、というような印象が素敵だ。それにサイズ的にも使い勝手がよかった。
 しかし、それにしてもいくらマセラティにとって初めての4ドア車のはじまりとはいっても、クアトロポルテ、「四枚のドア」というネーミングには、お国柄のちがいを感じてしまう。だが、それを「クアトロポルテ」と発音してしまえば、いかにもイタリアンに聞こえて嬉しくなってしまうのだから始末が悪い。
 外観よりもインテリアがマセラティ・クアトロポルテの「売り」の部分。いきなり応接間に通されたような豪華な気分で、それが自分の部屋になったりしたら、それは素敵なことというほかはない。クアトロポルテをいつか手に入れて、そんな生活ができたらなどと夢を見つづける快楽。、シレッと目立たないやはり四代目クアトロポルテがいいなあ。

ヒイキのイケン:

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