106)ランチア・フルヴィア・クーペHF

Lancia

ランチア

ランチアという個性的なブランド、その出会いは強烈であった。ほとんど一般路上で出逢うことのないランチアを訪ねて、愛好家のもとを訪ねたのだけれど、それぞれに深くランチアに思い入れていて、クルマ好きを自認しはじめたばかりのイノウエにしても別世界のような気さえしたものだ。なにしろランチア・フルヴィア・クーペにフラヴィア・スポルト、加えてランチア・ストラトスというような個性の塊のようなモデルばかりだったのだから。
 のちに、ランチア・デルタHFインテグラーレ、それもごく初期の「エヴォルツィオーネ」でもなんでもないモデルに乗ったとき、まさに目からウロコであった。グッとランチアが身近かに寄ってきてくれた気にもなった。以後、テーマのステーションワゴンとかテーマ8・32、イプシロンなど個性的で存在感のあるモデルがつづく。その前のランチア・ベータ・クーペ、モンテカルロも記憶に残る。
■ ランチア・フルヴィア・クーペHF/Lancia Fluvia coupe HF
*LANCIA CLASSIC*

 ランチア・フルヴィアは1963年に誕生した、ランチアの小型車シリーズ。ベルリーナ(サルーン)をベースにラリイ・フィールドで活躍(1972年にはワールド・チャンピオンシップを獲得)したフルヴィア・クーペ、ザガート製個性的スタイリングのフルヴィア・スポルトなどがラインアップされた。ランチアは1969年にフィアット傘下になってしまうので、純粋なランチアとして最後のシリーズということにもなる。
 それにしても、フルヴィア・スポルトよりもよほどスポーティな印象を与えるフルヴィア・クーペ。ベルリーナより150mm短縮された2330mmのホイールベースのスクウェアなボディはいかにも取り回しがよさそう。前後のオーヴァハングが短いのも、ラリイなどでは実に有効にちがいない。ラリイ仕様で決めたこのフルヴィア・クーペHFなど、実に小気味よい走りをみせてくれる。
 しかし、さすがはランチア。たとえば狭角V4気筒DOHCのエンジン、フラットなインテリアなど、独特のニュアンスをみせてくれる。いうまでもない、当時は少数派の前輪駆動(FWD)。これでWRCなどラリイ・フィールドにおいて、ミニやアルピーヌと闘い、ときにトロフィを獲得したりしたのだった。

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ヒイキのイケン:

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