10)アルピーヌ・ルノーA110ベルリネット1600SC

Alpine

アルピーヌ

フランスのリアル・スポーツカー、アルピーヌ。その代表たるA110ベルリネットの艶やかなスタイリングは、有無をいわせぬ魅力を湛えている。嬉しいことに、アルピーヌの生みの親であるジャン・レデレさんにインタヴュウさせていただいたり、工場見学をさせていただいたりして、「クルマ好き」のつくったブランドに注がれた情熱の大きさ、また最終的には大企業に呑み込まれてしまう悔しさなど知ることができた。レース会場でカロッツェリア・ミケロッティのボス、ジョヴァンニ・ミケロッティと出逢った話など、当時のクルマ世界についても興味深い話を訊かせてもらえた。
 1960年代を頂点に、まさしく佳き時代のクルマの真ん中に存在する。後年はルノーの一ブランドとなるが、たとえばルノー・スポール・スピダーなど、アルピーヌあっての産物だった。
■アルピーヌ・ルノーA110ベルリネット1600SC/Alpine-Renault A110-1600SC
*ALPINE CLASSIC*

 アルピーヌA110はひと目見たその日からもう夢中にさせられてしまうような存在。そのスタイリングに軽量、強力パワーの持ち主とあっては注目しないわけにはいかない。初めて乗せてもらったのは、ベイシック・モデルたる1300VCであったが、それでも充分以上の走りに、改めて軽量のありがたみを感じたものだ。いつかは欲しいクルマのリストの常連、というようなものであったが、近しい友人のガレージにあるや熱心な愛好家がいてくれることで満足の状態。
 アルピーヌA110シリーズのひとつの頂点1600SCなど、所有しているだけで大きな満足感が得られよう。走らせると、アルピーヌはいつも乗り手を挑発してくる。その緊張感はなにものにも代えがたい魅力。オーナーのみが知る喜びではあるまいか。

「ALPINE A110」2000年(経林書房)

 アルピーヌの集大成のような本つくらない? という嬉しいお誘いをいただいてまとめた一冊。「ALFA156」などとシリーズをなす装丁だが、ページ数は口絵をまじえると300頁に及ぶ大作となった。レデレさんへのインタヴュウをはじめとして集められるだけの資料を網羅した。新宿区箪笥町にあったいまはなき出版社への思いもあって、忘れられない一冊。

One thought on “10)アルピーヌ・ルノーA110ベルリネット1600SC

ヒイキのイケン:

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

一覧へ戻る