「世田谷ライフ」誌

狂言回し

Austin-Healey Sprite

「カニさん」

そのむかし、ようやくクルマを所有できるようになった頃、次のステップとして、普通の実用車ではなくてなんとか「趣味のクルマ」が欲しいと思った。いろいろな雑誌や洋書などを調べて、目標のクルマを決めた。それがなにを隠そう「カニ目」ことオースティン・ヒーリー(その頃はヒーレーと呼んでいた)・スプライトMk-Iであった。選定の理由はたくさんあるが、なにはともあれ「財布の軽い若者のためにスポーツカー」というのが気に入った。身の丈に合った存在でないと、趣味は破綻する。そんなことがぼんやりと頭の中に浮かんでいた。ステップアップするための、まずはクルマ趣味の入口のつもりで手にした「カニ目」はしかし、飽きさせなかった。3台乗り継いで、いまもってわが家のガレージに居つづける。そして、「カニさん」を使って、さまざまな記事を企画した。

■「世田谷ライフ」誌/「東京生活」誌(エイ出版)
*Frog-eyes Topics*

「東京生活」「湘南ライフ」などいろいろ発行するうちのひとつ「世田谷ライフ」誌には、2002年の創刊号から「世田谷事情通」と題して世田谷のあれこれをエッセイする連載をさせてもらった。  姉妹誌「東京生活」では「カニさん」を狂言回しのように使って、東京のあちこちを歩いて、趣味的なものを訪ねるという「TOKYO 趣味人ウォーカー」も連載。たとえば山手線各駅巡りなど、小回りの効く「カニさん」の特技を活かして、3号連載で山手線を一周し、各駅前でのスナップ写真、各駅近くでのおいしいもの屋散策など面白かったなあ。写真は、今はなき東横線が山手線をオーヴァクロスする渋谷付近のシーン。下は東海道品川宿(右)と左は世田谷にある幼稚園の送迎遊戯汽車と「カニさん」。

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