「クルマ趣味入門」

表紙に…

Austin-Healey Sprite

「カニさん」

そのむかし、ようやくクルマを所有できるようになった頃、次のステップとして、普通の実用車ではなくてなんとか「趣味のクルマ」が欲しいと思った。いろいろな雑誌や洋書などを調べて、目標のクルマを決めた。それがなにを隠そう「カニ目」ことオースティン・ヒーリー(その頃はヒーレーと呼んでいた)・スプライトMk-Iであった。選定の理由はたくさんあるが、なにはともあれ「財布の軽い若者のためにスポーツカー」というのが気に入った。身の丈に合った存在でないと、趣味は破綻する。そんなことがぼんやりと頭の中に浮かんでいた。ステップアップするための、まずはクルマ趣味の入口のつもりで手にした「カニ目」はしかし、飽きさせなかった。3台乗り継いで、いまもってわが家のガレージに居つづける。そして、「カニさん」を使って、さまざまな記事を企画した。

■「クルマ趣味入門」(保育社)
*Frog-eyes Topics*

 カラーブックスという懐かしの名盤があった。その716番目は「クルマ趣味入門」であった。中身についてはクルマ趣味のいろいろからブランド別の紹介、ミニチュア、専門ショップ一覧などカラーブックスらしく広範にわたって紹介。このHPの下敷きになるような一冊だが、それよりも見てほしいのは表紙。これはイノウエにとって二代目の赤と三代目の淡緑、2台の「カニ目」を並べて撮影した懐かしいもの。許されるならば「カニ目」ばかり6色車庫に並べてみたい、などと夢想したりしたものだ。

■「オースティン・ヒーリー/英国車の愉しみ」(1997年、草思社)
*Frog-eyes Topics*


 「カニ目」に対する思いの丈にはじまり、それを入手したことによって得ることのできた愉しいクルマ趣味実践の日々までを綴らせてもらったハードカヴァ250頁。なぜ「カニ目」に至ったかをはじめとして、英国車の魅力、生みの親(生みの息子、か)であるジェフリイ・ヒーリーさんとの出会い、そして「哀しい終章」として1994年に氏が急逝されたことまでを述べた。まだお目にかかったことのなかった製造時の写真や図面をヘリティッジで発見して借用できたのは嬉しかった。

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